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- ガリバーの査定額が高い、の真実
- 教育が行き届いていないので査定士のレベルが低い可能性
- 査定後に減額されるケースが多い理由
- ガリバーの中古車は全て修復歴が無い
- ガリバーの決算資料から買取台数と販売台数を抽出する
- 体験者から見たガリバーの評価は低い
- 相手によって自在に査定対応を変化させている
- 売却時のアフターサービス、トラブル対応は真摯に対応している
目次
「車買取専門店」という存在を世間に広めた業界トップの会社がガリバーです。2009年にアウトレット店を始めたあたりから業務を多角化し、2016年7月には社名を「株式会社IDOM(いどむ)」に変更しました。これは今後更にブランドが増えていった場合に、グループ統括会社の立場を明確にするためという理由と、常に挑戦する姿勢を行動指針として打ち出すために行った商号変更とされています。Googleが様々なサービス展開により多くのブランドを抱えたため、Alpabet社を統括会社として設立した目的に似ています。
ガリバーの概要については以下にまとめています。
参考→ 買取専門店の最大手「ガリバーインターナショナル」
そんな大手のガリバーですが、実際に車の売却を考えている場合、ガリバーに任せて良いのか不安になると思います。業界大手だからといって、必ずしも最高値で買い取ってくれる保証はなく、反対にセールストークが上手だから売上げが良いのではないかと疑う人もいると思います。そのため、様々な角度からガリバーを分析して、どういった特徴があるのかをまとめてみましたので、是非とも売却の際に参考にしてください。
ガリバーの査定額が高い、の真実
ガリバーに対する評判を数多く確認していると、意外な事に「ガリバーの査定額が高い」という声が聞こえてきます。普通は「査定額が低いから止めておいた方が良い」というのならわかるのですが、否定的な意見の方が多くなるのが「普通」なネット上の評判で「査定額が高い」というのはガリバー社員が書き込んでいるのかと思う内容ですね。
この査定額が高いというのは言葉通りの意味ではなく、別の意味がありました。
通常事故歴のあった車に対して査定が厳しくなるのは当然です。修復歴がある場合にはもっと厳しくなりますが、事故歴のある車に対しても、一般の消費者に対して嘘をついて売る事は出来ませんので、売るときに「ここを直しました」と申告する必要があります。当然その分値段を下げなければ売れませんので、査定時にも値段は下がります。事故歴と修復歴の違いについては以下を参照してください。
参考→ 修復歴ありと診断される具体的な判断基準が知りたい
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教育が行き届いていないので査定士のレベルが低い可能性
それで、ガリバーの「査定額が高い」という意味には、この事故歴がある車の場合に対して言われているようです。事故歴があるのに査定額が高いというのは矛盾しているようですが、いくつか理由が考えられます。事故車に対して他社が査定額を引き下げるなか、他社よりも高い査定額を提示する事で契約を多く勝ち取るという意味の理由か、あるいは査定士として能力が低いので事故車と見抜けないという理由になるかと思われます。
すごく以前のガリバーであればきちんと教育を受けたスタッフが査定をしていたので、事故歴を見抜けないなんて事はなかったそうなのですが、いつからか業務拡大のために若いスタッフが多くなり、地域や環境によっては充分に教育を受けていないスタッフが査定に来ているという話があります。そのため、査定士のレベルが低くなったのでは無いか、という説にも一定の根拠があるかと思います。
ガリバー独自の「クレームガード保証」という制度も話題になり、必要かどうかの議論も行われたりしましたが、現在は利用する人も、査定時にクレームガード保証を持ち出す事も少なくなったようです。
参考→ 車の売却契約締結後に減額されないためには? 内「ガリバーのクレームガード保証は必要?」を参照
スタッフが増加した事により、教育が追いつかなくなり査定士のレベルが低くなった、あるいはレベルの低い査定士が増えてしまった。その結果、査定時に不備があり持ち帰って調べたりオークション会場へ持ち込んだ時に発覚するケースが増えた。基本的には売り主の責任なので減額を請求するが、そのための保険を販売しても良いのではないかという事でクレームガード保証を創案した。
上記はあくまでも邪推であり、一部事実をもとにした想像です。しかし、急拡大した企業には教育が追いつかないという事が多々あり、ガリバーの評判を総合的に捉えたときに営業スタッフの評価は決して高くないので、上記のような想像があるいは正しいのかもしれないと思ってしまいます。
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査定後に減額されるケースが多い理由
買取専門店でのトラブルとして代表的なのは、査定時に提示された金額と契約時の金額が違う、あるいは契約後に修復歴が見つかったので減額を要求されたという内容です。他の買取専門店でも事例はありますが、買取台数の多さも影響しているのか、ガリバーでの事例も多々あります。
参考→ 中古車売買で起こったトラブル
一括査定によって複数の業者が1台の車の契約獲得を目指して競争するような場合だと、「契約したもん勝ち」なところがあります。契約が出来なければ広告費や出張経費などが無駄になりますので、どの会社も契約が欲しいです。「先に契約だけ取るために査定額を引き上げて、あとで理由をつけて下げればいい」として、高い査定額を提示する場合もあると思いますし、実際に高い査定額から減額要求されたというケースが多く報告されています。先ほどの事故歴の減額もそのパターンですね。特定の営業所の、特定のスタッフによる対応が問題になっているだけだと思いますが、消費者は企業を見ますので、「ガリバーはそういう会社」という風に疑っても仕方が無いと思います。
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ガリバーの中古車は全て修復歴が無い
ガリバーで売っている車は全て修復歴がないとうたっています。
修理歴が重要なのはなぜ? - ガリバー公式サイト
修復歴については、先ほどリンクした過去の記事にて詳細を触れていますので、ここでは詳しく解説しませんが、フレームが損傷するほどの事故であればフレーム以外にも損傷を受けている可能性もあるので、こちらの公式サイトで解説されている「修復歴車は安全性に不安があります」という内容は間違いないかと思います。
ただ、ここで触れているのは修復歴車であり、軽微な事故については触れていません。事故があっても大きな損傷にならなければ修復歴車としては扱われません。そのため、先述の事故車を高く買い取るというのは、修復歴車は買わないけれど、軽い事故車なら買い取るという意味かもしれません。普通は修復した後があれば、「事故車」の範囲にならなくても査定金額を大幅に下げたくなりますが、そこをガリバーは強気に買い取っている、という話なのかもしれません。
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ガリバーの決算資料から買取台数と販売台数を抽出する
ガリバーは販売実績、買取実績ともにNo.1をアピールしています。販売実績については、2014年度のグループ企業を除く中古車販売台数小売り・卸売合算値としてNo.1、買取実績は2001年~2014年主要買取専門店7者における中古車買取台数でNo.1としています(ともに矢野総合研究所調べ)。
決算資料から買取台数・販売台数を抽出します。決算月が2月となるため、2015年決算期分は、2014年3月~2015年2月、となります。
区分 | 販売台数 | 買取台数 |
---|---|---|
2014年決算期 | 159,316台 | 178,769台 |
2015年決算期 | 158,375台 | 168,968台 |
2016年決算期 | 180,996台 | 189,675台 |
数値はシェアードリサーチのIDOM(7599)レポートから
全て直営店取扱の台数となります。各年ともに販売台数が買取台数を上回っていますが、これはグループ企業だから起こる事のようで、加盟店で買い取った車を直営店で販売する場合には、販売台数のみが計上されます。
2016年決算期(2015年3月~2016年2月)に販売台数を大きく伸ばしているのが分かります。これは最新の四半期でも台数を伸ばしていて、現在ガリバーが好調であることを示しています。
中古車販売店のビッグモーターも中古車販売台数日本一をアピールしています。2014年のインフォメーションで中古車販売台数日本一の記事によると、2013年4月から2014年3月までの期間で、子会社を含む小売販売台数はビッグモーター(ハナテン含む)が65,755台となり、2位のA社が50,800台で続き、ビッグモーターが2013年度の中古車小売販売台数日本一になったとあります(㈱総合企画センター大阪調べ)。
ビッグモーターは小売(消費者販売)の台数において、日本一を誇り、ガリバーは小売りと卸売りを合わせた場合に日本一となります。ガリバー自体も卸売り専門から、小売業を拡大し始めているので、そのうちシェアが変わるかもしれません。
投資家の立場で資料を眺めた場合には、業界シェアが高くて投資効率も良さそうな企業に見えてきますが、車を売却する相手の企業として見た場合にどうなのかが重要です。販売力がある事は財務資料から読み取れますので、中古車に対する査定は確かといえます。販売台数と査定力に関連性は無さそうにみえますが、仮に売れない車を在庫として大量に抱えてしまった場合には値段を落として販売しなければならず、その結果買取予算が縮小されるという悪循環が始まります。
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体験者から見たガリバーの評価は低い
中古車を実際に売却した方のみに絞って調査された、オリコンの車買取会社ランキングというものがあります。実際に売却した方の意見が反映されているので、信用力の高い調査結果といえます。影響力も大きく、2年連続で総合評価No.1に輝いたアップルは、自社HPにて大きくアピールしています。
車買取会社を対象に、6項目で評価しています。ガリバーの評価結果は以下の通りになっています。
区分 | 2015年 | 2014-2015年 | 2014年度 | 2012年度 |
---|---|---|---|---|
手続きの容易さ | 10位 | 9位 | ランク外 | 8位 |
担当者の対応 | 8位 | 10位 | ランク外 | ランク外 |
見積り・査定の的確さ | ランク外 | 10位 | ランク外 | ランク外 |
買取価格 | ランク外 | 10位 | ランク外 | ランク外 |
アフターサービス | ランク外 | 10位 | ランク外 | ランク外 |
会社の信頼性 | 5位 | 4位 | 4位 | 2位 |
ほとんどの項目で最低評価に近く、唯一「会社の信頼性」のみ上位という結果でした。国内最大の買取専門店であり、全国に店舗を展開している事で、知名度・信頼性は高評価になります。しかし実際に車を売った人の評価では低評価です。単純に捉えたら、ガリバーに売ってはいけない、となりますが、実際には日本で一番中古車を買い取っている会社です。売る人のほとんどは低評価である事を知らない、他の会社を知らないから、という理屈が聞こえてきそうですが、もし悪評ばかりだと、これだけネットが普及してきている現状では簡単に潰れます。実際には買取台数を伸ばしています。
相手によって自在に査定対応を変化させている
推測ですが、単独で店舗へ持ち込んで査定を依頼するような人には、安く買い叩くことが多く、一括査定で申し込んでくる人には他社よりも高い金額で買い取るといった個別対応をしているのではないかと思います。「買取力」が圧倒的に強いから買取台数のシェアが大きいのではないかと思います。
その推測が正しければ、何も知らない素人は安く買いたたかれますし、営業トークに騙されてしまいます。冒頭の話にも繋がりますが、競争をさせれば高い金額を出してくるのであれば、売る側が交渉力や交渉材料を揃えるだけできちんとお金になるという事です。もしかしたらガリバーはその傾向が強いかもしれないので、きちんと準備して臨めば良い結果になると思います。
大きい会社なのでスタッフも多く、営業職の常として新しく入る人や辞める人で流動性は高いと思います。そういった環境の場合、担当者の資質で決まってしまう事も多いので、担当者の当たりハズレが大きくなると思います。
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売却時のアフターサービス、トラブル対応は真摯に対応している
ガリバーの特徴としては、業界No.1の地位を維持してきた事からか、売却時などへのアフターサービスを意識している事です。具体的には業界団体の設立と、納得いかない内容があった場合に本部へ連絡すると、だいたい解決する事です。
業界団体の設立というのは、JPUC(社団法人日本自動車購入協会)とJCAA(社団法人日本中古車購入アドバイザー協会)の事です。JPUCについてはカーセブンの井上貴之社長が現在の代表理事を務め、大手会社の代表が理事に名を連ねています。健全な中古車買取業界を目指すために設立された団体ですが、一般の方に対してフリーダイヤルを提供し、問い合わせ窓口を開設している事が特徴です。こちらに問い合わせる事で、売却時のトラブルに対する対処や、場合によっては事業者への指導なども行います。また査定サイトに対しても同様に監視を行い、中古車買取業界で起こる様々なトラブルからの被害者を無くそうと努力する団体になります。
JCAAについては、加盟事業者が株式会社Ancar、CARNNY株式会社と株式会社IDOMの3社になりますが、資本力の面からいって、ガリバーがイニシアチブをとって設立した団体のように見受けられます。
いずれの団体も、利害関係のある業界内団体ではありますが、あくまでも社団法人として第三者的な立場から、一般の方に対して直接窓口をもうけて対応する事が出来る点が特徴で、車売却時のトラブルについては国民生活センターへ相談する事をおすすめしていますが、複数の窓口があるのは良い事なので、JPUCへ問い合わせされても良いかもしれません。
また、ガリバーとのトラブルで有名になった方の記事があります。
ガリバーに要注意!
こちらの方の内容を要約すると、当初50万円で査定された金額でしたが、契約書を交わさない約束は無効だとして37万円に減額された、その後本社と話し合って支部のものが行ったミスだという経緯になります。
もちろんガリバーという会社全体でこういった約束の反故や減額などが日常的に行われている可能性もありますが、本社側と話した結果は、謝意を表するとの事で、素直に謝罪をされています。このことから考えると、各店舗や、その中の担当者ごとにレベルの差があって、ハズレの担当者を引いてしまった場合には不愉快な思いをするかもしれないですが、その結果を泣き寝入りせずに本社に問い合わせれば、解決する可能性があるという事です。
多くの方にとっては、店舗で対応した方が企業名を背負って対応しているので、当然その方の一挙手一投足が企業を示すことになりますが、どうしても営業の方は個人差がありすぎるので、ダメな人もいれば微に入り細を穿つ方もいる玉石混淆の状態です。そのため、企業同士で取引するようなレベルを望むのは難しく、トラブルになりやすいといえます。他の買取会社は均一的にもう少し安定しているのかもしれませんが、ガリバーの場合は、そういった事を念頭に置いて、もしトラブルになりそうなら本社に問い合わせる事で解決出来るかもしれません。
買取台数・販売台数ともに業界トップクラスを維持してきたガリバーなので、良くも悪くも、一番多くのデータを保有している会社です。データを保有しているというのは、業界内で最も正確な査定が出来るという事でもあります。実際の査定現場では相手を見て査定額を変動させていると思いますが、少なくとも本社の内部にあるデータからは、最も正確な査定結果が分析されています。複数社を競わせたうえで、限界に近い額をガリバーから引き出す事が出来れば、それがオークション相場などでも取引される限界の金額に近い金額になると思います。
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