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「車離れ」という言葉が聞かれるようになって久しいですが、車を保有しない人が増えている、新車が売れないというのは若い人に限定した話ではなく、消費スタイルが全体的に変化してきた影響があります。
中古車買取専門店の歴史でも簡単に触れましたが、1994年頃をピークに新車が売れなくなり、新車販売より中古車の取扱い数が上回った状態が続いています。車の性能や新しい機能などは日々進化し、より良いものが提供されていますので、車に魅力がなくなったからと理由づけするのは無理があるかと思います。それよりは車を必要としない生活への転換が起きているのではないかと思います。
道路と同じくらい鉄道などの公共交通機関が発展してきた
日本ではモータリゼーションの発展に伴って日本全国の隅々まで道路が作られ整備されてきましたが、同じくらい公共交通機関も発展してきました。特に鉄道網はJR、私鉄を問わずに発達し、人口過密の都市部では地下鉄も充実しています。世界的に評価されることの多い日本の安定した鉄道システムに加えて、バスなどもそれなりにある事で、絶対に車の必要な場所というのは案外少ないという事に気付きます。
地方に行けば車の必要な地域はいくらでもあるとはいえますが、携帯電話の電波と一緒で、人口カバー率で考えたら、公共交通機関のみで生活できる人の割合というのは、想像以上に多いと思います。都市部ほど人が多く住むので公共交通機関が充実し、車に頼らなくても生活できる環境があります。
都市部というのは基本的に土地が高いので、車の維持費もかさみます。毎月の駐車場代も大きいですが、どこかへ出掛けても駐車場代が発生し、渋滞が多いので燃費も悪くなり、また狭い道が多く事故のリスクも高いのが都心部での車環境です。
車の購入にはまとまったお金が必要
趣味の多様化という側面で話されるように、スマホゲームなど他にお金を使うようになったり、あるいは労働環境の変化によって非正規雇用が増えたので、まとまったお金の必要な車の購入が難しくなったという分析もあります。
そのため、都心部を中心に車に乗る人が減る車離れが起きても不思議ではありません。車に乗る生活が憧れであったり、便利さを享受していた時代から、生活に本当に必要なものは何かを見極める時代になってると思います。
実際に都市部に住む場合の維持費をシュミレーションしてみます。都市部といっても都心ではなく周辺地域を想定します。
所有車 | ホンダ フィット |
---|---|
駐車場代 | 7,000円 |
ガソリン代 | 3,450円 レギュラー価格115円/リットルで算出、月1回30リットルと仮定 |
自動車税 | 2,875円 年間34,500円を月割 |
任意保険 | 3,815円
年間45,780円を月割、費用条件については以下サイトの平均相場から30~34歳以下、車両保険なしの条件を選択。 |
車検費用 | 3,125円 (75,000円÷24ヶ月、ディーラー依頼として計算) |
合計 | 毎月20,265円 |
大きく変動するのは駐車場代のところでしょうか。都内になると2~3万円が相場になってきて、一等地になると10万円以上という例もあります。もちろんそういうところを借りるのは余裕のある方ですが。
たとえ全く乗らない月があっても、ガソリン代が節約になるくらいで、普通に使っていたら月額2万円くらいはかかってしまうという事ですね。
さて、車を売って、レンタカーでの生活に切り替えた場合はどうなるのか、シミュレーションしてみました。
回数 | 月2回 |
---|---|
ガソリン代 | 3,450円 レギュラー価格115円/リットルで算出、月1回30リットルと仮定 |
レンタカー代金 | 12,096円 ニッポンレンタカーのS-Sクラス、SRM(メンバー料金)6時間利用で算出 https://www.nipponrentacar.co.jp/ |
合計 | 15,546円 |
ガソリン代は同じ条件で並べてみたので、もう少し下がる気はしますが、だいたい同じくらいの金額になりそうです。24時間以内で7,992円となっており、6時間利用の場合に比較して差額は2,000円以内になっていますので、もう少し利用したい場合は1回につき2000円くらいが変動額と考えれば良いです。
最後に、カーシェアリングを使ってみた場合のシミュレーションを出してみます。駐車場でも有名なタイムズカープラスを利用した場合で算出してみました。
回数 | 月2回 |
---|---|
初期費用 | 96円 初期費用1,150円を12ヶ月割り。1度きりの支払いだが、便宜的に月割りで計算 |
月額基本料 | 1,030円 同額の無料利用料金を含む |
利用料金 | 8,040円 月2回、1回につき6時間利用の場合で算出 |
合計 | 8,136円 合計額から無料利用料金を減額 |
こちらも同様に6時間の利用で算出してみましたが、やはり格安な結果となりました。カーシェアリングの特性上、使った分だけ払うので、15分刻みで料金が発生します。そのため、6時間使い切るのではなく、30分使った後、数時間後に2時間分使うという場合でも、使った金額分だけの料金となります。
格安で便利な反面、使いたいときに空いていない可能性があるというデメリットもあります。登録台数が増えたり、もっと使える場所が増えれば良いのですが、まだまだサービスとしては普及しきれていない印象があります。たとえば駅前から車に乗りたい場合にはレンタカーが圧倒的に有利です。ほとんどの駅前でサービスを展開しています。反面、カーシェアリングは住宅地など少し駅から離れた場所に設置している事がほとんどです。ただこれも、マイカーに変わるものとして考えれば、カーシェアリングの方が代替としては可能性があります。
自動車大国であるアメリカでも、新車を買うお金がないから買わない、という人が増えているようです。どうしても生活に必要な場所であったり、仕事内容である場合を除いて、公共交通機関を利用出来るのであれば、そちらの方が安い場合がほとんどだったりします。カーシェアリングが徐々に普及しだしているように、モノは所有から共有する時代に変化してきています。使いたいときにはカーシェアリングを利用して、それ以外は公共交通機関を利用するのが、環境にも経済的にも効果的だと思います。
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