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Credit by ER24 EMS (Pty) Ltd.
「せっかく手に入れた愛車が、ある日突然盗まれてしまった」
自動車盗難の話は他人ごとのように聞こえますが、隙さえあれば盗難されているのが現状で、更に高級車や人気車は盗難対策をしていても盗まれることがあります。
「人気車や高級車が盗まれるのは分かるけど、自分の車は大丈夫でしょう」と思っていても、カーナビや車内に置かれた現金・カード類、更に盗難車からヘッドライトだけ抜き取られるような被害も発生しています。
車を転売するためだけではなく、パーツ盗りや現金なども目的になりますので、被害に遭わないためにも、どういった状況で盗難が発生しているのかを見ていきましょう。
自動車盗難車ランキング
グラフのデータは日本損害保険協会の公表結果から
http://www.sonpo.or.jp/news/release/2016/1603_01.html
http://www.sonpo.or.jp/news/release/2013/1303_01.html
最初に盗難車のランキングを見ていきます。盗難車のデータとしては日本損保が毎年発表している、車両本体の盗難により「保険金を支払った件数」のランキングが参考になります。保険金を支払った件数のみなので、実際はもっと多く、ランキングも変わる可能性があります。あくまでも保険会社一社のランキングになります。
2013年まで圧倒的に盗まれやすかったのはトヨタのハイエースです。あまりに盗まれるため、2012年モデルからイモビライザーを標準で装備した結果、盗難件数が減少し始め、代わりにトップになったのがハイブリッド車のプリウスです。
車種別での盗難車ランキングを保険会社が公表しているのは、「該当車種ほど盗難リスクが高いので保険金が高くなります」、というアピールをするための意味が含まれると思います。もちろん注意喚起の意味も含まれます。日本損保以外の保険会社も同様で、プリウスやハイエースの保険は盗難リスクの分、他の車より割増になります。
出典は同上
こちらは全体の盗難件数の推移です。全体としては減少傾向にありますが、先ほどの車種別では、上位車種の減少がそれほどないので、「全体としては減少しているが、人気車は引き続き盗まれている」状況が見えてくると思います。そのため、上位車種に該当する車に乗っている方は、引き続き充分に注意してください。
自動車盗難の目的
自動車を盗難する犯人や犯行グループは、キー付けっぱなしなどの状況を除けば、計画的に犯行を行います。そのまま転売するわけではなく、様々な目的によって盗難は行われます。
海外へ転売
Credit by Nico le Roux
ハイエースで多いのはこのケースで、中古車であっても人気の高さから高額で取り引きされるので、需要の高い海外へ転売されます。盗難された車は、ヤードと呼ばれる場所で一度バラバラに解体され、現地で組み立てられる場合もあります。
車には車台番号という固有の番号が刻印されており、盗難車の車台番号を調べれば一発で分かるので、そのまま転売する事はほとんどありません。とある報道では、ドバイに一度運ばれた後、イギリスに運ばれ転売されたというケースがあるそうです。ドバイでは部品を組み立てて車両に仕上げるのが得意な会社があるそうです。犯罪組織がグローバルになると、捜査も大変になる分、被害車両が戻ってくる確率も下がってしまいますね。
自動車部品として転売
盗難された車は転売する場合でも解体される事がありますが、車としてではなく、部品ごとにバラして転売されます。部品ごとに分解すれば売りやすくなり、また盗難車と分からなくなりためです。
海外へ輸出する場合でも部品で売る場合でも、一度分解してしまう場合は、元の車両状態を確認する事は困難です。そのため、盗難された車の8割は戻らないというデータがあります(被害回復率が2割)。
ナンバープレートの不正利用
盗んだ車内に金目のものや、部品として売るものが無くても、ナンバープレートを他の車両に取り付け、他の犯罪行為に利用される場合があります。
人気車、高級車、新車は狙われやすいですが、それ以外の車でも注意しなければならない理由が、このためです。古い車でも盗難されてしまうと、犯罪に利用されてしまう可能性があります。
どこで盗まれやすいか?
駐車している場所別に盗難された件数のデータがあります。このデータでは駐車場での発生件数が多いですが、減少傾向にあります。一方で「その他」に分類される件数はあまり減少していません。その他に分類されるケースとしては、以下のような犯罪例があります。
・家に侵入し、車のキー・スペアキーを入手する
・ホテルなどで本人になりすましてキーを受け取る
これ以外にも、コンビニなどでキーをつけたままお店に入った隙に盗まれた、というケースも多いです。よくあるケースとして充分認知されているはずですが、「ちょっとならいいだろう」と思ってキー付けっぱなし、エンジンかけたままで車を離れる人はいなくなりません。
どのような手口で盗まれるか?
自動車を盗まれるレアケースについては紹介しましたが、多く使われる手口を見ていきます。
ピッキング
Credit by Cory Doctorow
昔からある手口で、鍵穴をこじ開けて車内に侵入します。バールのようなもので窓ガラスを割って侵入する場合もあります。最近の車はイモビライザーが装備されてきたので、ピッキングによる侵入は減ってきています。ただ付近に民家が少ないような場所に駐車してある場合は、大きな音が発生しても盗難に支障がないため、強引にこじ開けられる場合があります。
イモビカッター
たとえ車内に侵入されても、エンジンが始動されなければ盗難されない、という考えのもとに導入されているのがイモビライザーです。電子的なキーの照合によって、専用のキー以外ではエンジンが始動しない仕組みです。
盗難に対して有効な仕組みと思われていましたが、イモビカッターと呼ばれる道具によって、イモビライザーの解除をされてしまうようになりました。
イモビライザーを装着すれば盗難されないという認識すらあり、装着車が盗難された時に保険金の支払いを拒絶される事案が発生し、裁判にまで発展しました(2005年大阪地裁)
現在ではイモビカッターの技術が向上し、車種ごとに適合するイモビカッターが存在すると言われています。新車発表から数ヶ月で作られると言われています。イモビライザーをつけたから安心、という訳にはいかなくなっています。
レッカーで運搬してしまう
イモビライザーの他に、盗難防止用に大音量で警告音を発生させる装置があり、こちらは一定の効果をあげているとされますが、万能ではありません。
警告音が鳴り響いても、持ち主以外はトラブルに巻き込まれたくないため、堂々と警告音を鳴らしながら持ち運び、後で解除するという手口が発生しています。怖そうな不良外国人が盗難していたら、止めに入るのは躊躇いますね…。
イモビライザー装着車の場合でも、レッカーで車ごと運搬されては、盗難を防止できません。高級車や人気車で狙われる場合は、レッカーで盗難される可能性があるという事です。
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車の盗難対策
ではどうすれば良いか、という話になりますが、万全の盗難対策は無いものの、盗難される可能性を減らす対策は行えます。代表的な対策を見ていきましょう。
必ず鍵をかける
当たり前ですが、鍵をかける事が基本的な対策になります。基本的な事だけに、忘れてしまう場合もあります。
「考え事をしていて、駐車場へ止めた車に鍵をかけ忘れ、気づいて戻った時には盗まれていた」
というようなケースも発生しています。当たり前の事を必ず行うという事は大事です。
路上駐車をしない
最近は駐車違反の取り締まりが厳しくなったので、路上駐車する事もほとんど無くなったと思いますが、住宅街や近くに駐車場が無い場所などでは、路上駐車をしてしまう場合があるかもしれません。しかし、路上駐車は危険です。
路上駐車の場合は、路上に放置してある自動車と同じ意味になります。そのためもし盗難や損傷を受けても保険は適用されないことがあります。
海外では多いのですが、外から見える場所にバックなど金目のものがあると、窓ガラスを割られるなどして車上荒らしに遭う可能性があります。日本はまだ安全ですが、車上荒らしは頻繁に起きているので油断は禁物です。
駐車場よりも路上駐車の方が盗難や車上荒らしは多くなりますが、これは「監視が無い場所」では犯罪しやすいためです。特に夜間の路上駐車は人の気配もまばらになるので、被害に遭いやすくなります。
ショッピングモールなどの大型駐車場
人の出入りが不特定多数で、所有者が分かりにくい状況の車は、盗難の被害に遭いやすいです。これは盗難行為をしている行動があまり怪しまれない、警報音が鳴っても周りの人は我関せずとなるためです。
ショッピングモールなどの大型駐車場では、こういった盗難されやすい条件に当てはまるので注意が必要です。特に深夜営業しているスーパーの駐車場などは狙われやすいです。
対策はあまり無いのですが、人通りの多い入り口付近、照明がある明るい場所は犯罪者が嫌がりますので、深夜などに止める場合は参考にしてください。
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愛車が盗まれてしまうと、まだローン中の場合は残金を引き続き支払わなければならず、大きな損害になってしまいます。また盗まれた車は基本的に戻らないので、いかにして盗まれないよう注意するかが大事です。
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