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自動車レーサーに学ぶ、安全で快適な車の運転方法

車の乗り方について

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自動車レースといえばF1やルマンが一般的には有名ですが、国内で行われているGT500やスーパーフォーミュラ(旧フォーミュラニッポン)などは国際的に有名ですし、ラリーのWRC、アメリカのインディ500なども有名です。

レーサーになれるのは一握りと思いがちですが、実際は想像以上に多いです。

レーサーになるには必須のライセンスですが、国内Bから国際A、その上にスーパーライセンスがあり、スーパーライセンスが発行されるとF1に乗れるようになります。

国内Aライセンスまではほとんど技能を問われないので、国際Cライセンス以上をレーサーとすれば、JAFの統計では毎年約2,500人に対し、国際C級以上のライセンスを発行しています。
JAF 競技運転者許可証発行数より

免許を持っている人やドライブが趣味の人に比べると、2,500人という数は一握りですが、例えばF1でレース出来るドライバーは全世界で選び抜かれた20人程度なので、それを考えれば国内だけで2,500人というのは多いような印象すら持ちます。

レーサーの運転は荒い?

よくある誤解として「レースでは極限のスピードで運転しているから、街中でも暴走するような飛ばし屋と変わらない運転をするのではないか」という前提です。危険な荒い運転をするのではないかというイメージですね。

まず最初に言っておくと、レーサーが公道を走る場合は通常の運転免許が適用されますが、仮に事故などによって免停などの処分を受けた場合、サーキットで走るためのライセンスにも影響が及びます。国内ライセンスの場合は、有効な運転免許とセットになっているので、国内レースに出られなくなります(国際ライセンスは別)。

そのため、多くのレーサーは公道を走る場合、一般ドライバーよりも安全な運転を心がけます。仮にスピード違反で検挙された場合、仕事であるレースに出られなくなるのですから、嫌でも慎重になります(そのような事情から、一般道は奥さんが運転する場合が多いそうです)。

レーサーは極限まで「丁寧な」運転を行う

仮に飛ばさなくても、運転が荒いのではないかと思う方がいると思いますので、次にレーサーがレースで行っている運転操作を説明します。サーキットという決められたコースの中を、いかに早く走れるか競うのがレースです。車両にほとんど差はないので、競うのはドライバーのテクニックです。

レーサーの凄さは、200km/h以上で走ってても10cm単位で車をコントロールして曲がったり出来る事です。レーサーにとって最も大切なことは、どのような状況でも「車をコントロール出来る」事です。コントロールを外れれば、すぐにスピン、コースアウトが待ってますし、運が悪ければ怪我、あるいはそれ以上の不幸が待っています。

車をコントロールするために必要な事は、矛盾しているように聞こえますが、限界まで丁寧な運転を行うことです。車の性能を限界まで引き出す運転とは、車に負担をかけない運転です。

急ハンドル、急加速、急ブレーキは公道の運転でも避けるべき危険な運転ですが、実はレーサーもなるべく「急」な運転とならないように努力しています。

ここでいう「急」の意味は、緩→速のように、動作が滑らかではなく段差のあるような動きを指します。急ハンドルと丁寧なハンドルの比較では、曲がれる速度が違ってきます。

この動画は、Gの移動を視覚化した映像を一緒に載せているもので(アプリでしょうか)、非常に面白い動画です。カーブに差し掛かり、ハンドルを切ると、わずかにGが揺れ動くのを確認出来ます。この運転手の操作は、車体を揺らさないお手本となる動作です。両手でハンドルが余計な動きをしないように押さえながら、ゆっくりと回し、固定し、戻します。カーブの途中でハンドルを切り足す行為はなるべく避けるべきです。

ほとんどのカーブは一定の半径に沿って作られています。そのため、カーブの状況に応じて、ハンドルを想定した分だけ切れば、カーブを曲がることが出来ます(ハズです)。想定したよりもカーブがきつい、あるいは緩い時に、ハンドル操作の修正が入ります。ハンドルを修正する分だけ余計な動作になりますので、車は揺れやすくなります。

一度ハンドルを切ったら、あとはアクセルとブレーキだけで曲がるようなイメージを持つと、ハンドル操作が安定してきますし、運転技術が向上します。

おまけの参考動画

この動画はプロドライバーの織戸さんが解説する、送りハンドルのやり方です。4:53から再生設定しています。ほとんどの教習所では腕をクロスさせてハンドルを回転させる方法を教えますが、緊急時の対応や回転時の車体安定度を考えると、送りハンドルの方が優れている面があります。もし興味があれば、練習してみて下さい。

プロレーサーから学ぶ安全運転

自動車レースのトップカテゴリの一つであるGT300を例に、運転テクニックを学んでみましょう。といっても、プロで通用するような凄いテクニックを学ぶわけではありません。プロレーサーの運転から安全運転の基本となる運転テクニックを学ぶのが目的です。

レース中継ではオンボードカメラといって、マシン上部や内部に設置したカメラから、ドライバーの運転をじっくり観察出来る視点があります。そのオンボードカメラでサーキットを1周する様子をご覧ください。

この動画は2014年に鈴鹿サーキットで行われたレースのオンボード映像です。レース車両ですが、ハンドルは一般のものの形と似ているので、運転操作を確認しやすいと思います。

レース映像なので分かりづらいかもしれませんが、大事な点は以下の通りです。

・両手で運転する
・早めにブレーキを踏む
・全ての動作を滑らかに行う

両手で運転する

運転に慣れてくると、ついやってしまうのが片手で運転する行為ですが、これは安全運転の意味からも絶対に避けた方が良い行為です。片手で運転するデメリットはたくさんありますが、いくつかあげると「とっさの時に対応しきれない」「滑らかなハンドル操作が難しい」です。

「とっさの時に対応出来ない」というのは、例えば猫が飛び出してきたような場合を想像してほしいのですが、猫を避けるためにハンドルを切り、切りすぎた場合はハンドルをすぐに戻す必要があります。

もし片手で運転していた場合には、ハンドルを切るスピードが速すぎてスピンしたり、あるいは戻す時のハンドル操作が出来ずに壁などへ衝突してしまう事があります。正確な操作が要求されますので、片手ではなく両手での運転が望ましいのです。もちろん、両手で操作したからといって回避できるとは限りませんが、回避できる可能性は高くなります。

「滑らかなハンドル操作が難しい」というのは、先ほどの話とも関係しますが、片手ハンドルの場合は滑らかではなく断続的な動きになりやすいです。

交差点を左折するような場合、ほとんどの車はハンドルを1回転する必要がありますが、片手操作では連続して操作が出来ないので、途中で「カクッ」となります。またハンドル回転を止める止めるときにも、一気に止めるので「カクッ」となります。

片手ハンドルの場合、ハンドル操作が「クイッ」「キュッ」「クイッ」といったように、断続的で急な動作になりやすいです。両手ハンドルの場合は「スーッ」「スッ」といった動作になります。

常に次を予想する運転

安全運転のためには余裕を持った運転が必須ですが、余裕ある運転のためには、常に周囲の状況に気を配り、次に何が起きるかを予想しながら備えた運転が理想です。準備があれば慌てずに済んだり、対処出来る幅が広がります。

左側に路駐している車がいれば、安全に避けて通過するために、まず最初に対向車線の状況を確認します。対向車線が空いていれば、大きくはみ出しても安全となるためです。次に路駐車の状況を確認します。ドライバーが降りてくる様子がないか、同一車線内で追い抜きできるか、路駐車の奥は何かいないかなどです。これを事前に確認しておくことで、安全な通過が行えます。

レーサーがレース中に行うことは、いかに高速に車を走らせるかという事ですが、そのためにはコースを完全に記憶し把握していなければなりません。ここのコーナーは130km/hで曲がれる、ここのコーナー前では100km/hまで減速する必要がある、などを考えながら走ります。

また他の車と一緒に走るので、抜いたり抜かれたりといった事が発生します。そのため周囲の状況を常に把握しながら、レースを行います。抜く時も抜かれる時も他車の動きを把握していないと、接触事故を起こしてしまいますので、相手の動きを想像しながら走ります。

安全運転を行うためにも、他車の動きを予想しながら運転する事は、とても大切な事です。前の車が停車したい様子や、後ろの車が追い抜きをかけようとしていたり、駐車場から出ようとしている車がいれば、次にどのような行動を相手がするか、予測し、それに備えます。

危険となりそうな行為のほとんどは、予備動作があるので、注意深く観察していれば防げるものがあります。そのため、危険回避のために予測をしながら運転をする事は、とても大切です。こうして予測しながら運転する事で、「早めにブレーキを踏む」「全ての操作を滑らかに行う」ということが可能になります。

ちなみに、「だろう運転」という言葉があり、高齢者に多い問題となりますが、「だろう運転」はどちらかといえば利己的に、自分の都合の良いように判断するのが、危険予測と異なる点です。

「だろう運転」では「止まってくれるだろう」「(右折時に直進車との距離は)まだ余裕があるだろう」と甘めに都合よく判断するのに対し、望ましい危険予測では「止まってくれないかもしれない」「すぐに(直進車などが)来るかもしれない」と厳しく安全第一に判断する違いがあります。予測という意味では似ていますが、行動は反対です。

レースのように公道を運転する事は絶対に行ってはいけない危険行為ですが、レーサーのように車を丁寧に扱い、考えながらドライブする事は安全運転に繋がります。また同乗者にとっても酔いづらく安心できる運転になります。

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